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2015.11.25【能楽鑑賞会】

公開日: : 演奏会

能楽鑑賞会
日時:平成27年11月24日(火)会場17:30開演18:00
場所:国立能楽堂(千駄ヶ谷4-18-1)
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演目仕舞「采女」野村四郎ほか
狂言「柑子」山本東次郎ほか
能 「小鍛冶」観世清和ほか
釆女(うねめ)
【分類】三番目物 (鬘物)
【作者】世阿弥
CCF20151124 (1)
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釆女(うねめ)
【分類】三番目物 (鬘物)
【作者】世阿弥
【主人公】前シテ:里女、後シテ:釆女の霊
【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)
諸国をまわって歩いている旅の僧が、京都の寺々もほぼ見終わったので奈良へやって来ます。そして、春日の里につき、春日明神へ参詣します。すると、そこへ一人の女性がやって来て、木を植えます。僧が不審に思って言葉をかけると、その女性は、春日の神の由来、木を植えることの理由などを、詳しく話します。続いてその女性は、僧を猿沢の池に案内し、帝の寵愛を失った朱女が、ここに入水したという物語をし、実は自分はその釆女の幽霊だと告げて、池の底に姿を消します。
<中入>
僧は不思議な思いで、ちょうどやって来た土地の人に、もう一度春日の社の縁起と釆女の死のことを尋ねます。里人も僧の会ったという女性の話を聞き、それは釆女の亡霊だから、弔ってやるように勧めます。僧が回向をしていると、釆女の亡霊が現れ、弔いを受けたことを喜び、仏教説話にあるように自分も変成男子となり、成仏して極楽に生れたことを述べます。続いて釆女というものが、いかに人の心を和ませるのに役立ったかを語り、宮廷の酒宴の場で興を添えたときのことを思い起こして、舞を舞います。そして、御代を祝福しつつ、再び池の中へ消えて行きます。
【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)
葛城の王勅に従い陸奥の。忍ぶもぢずり誰もみな。こともおろそかなりとて。設けなんどしたりけれど。なおしもなどやらん.王の心解けざりしに。采女なりける女の。かわらけ取りし言の葉の.露の情に心解け叡感もって甚し。されば浅香山.影さえ見ゆる山の井の。浅くは人を思うかの。心の花開け。風もおさまり.雲静かに。安全をなすとかや。しかれば釆女の戯れの。色音に移る花鳥の。とぶさに及ぶ雲の袖。影もめぐるや杯の.御遊のみ酒のおりおりは釆女の衣の色添えて。大宮人の小忌衣。桜をかざす朝より。今日もくれはどり.声のあやをなす舞歌の曲。拍子を揃え.袂をひるがえして。遊楽回雪たる.釆女の衣ぞ.妙なる。

狂言『柑子(こうじ)』と言い訳
みかんの季節も、そろそろ終わりだが、日本の伝統的みかんに「柑子蜜柑」がある。温州みかんより小さめのものだ。今回は、これを題材にした狂言『柑子(こうじ)』を取り上げよう。いろんな内容の筋があるが、基本は同じだ。太郎冠者が悪いことをした言い訳する話。
主人(大名とするものもある)が、昨夜の宴席でもらった、枝に実が三つ成った柑子を太郎冠者に預けていたのを思い出し、彼に返すように言うと、例によって、いろんな言い訳をするパターン。大体、問題を起こしそうな太郎冠者に物を預けること自体、間違っている。逆に言えば、主人は、そういうことを想定しているのかも。多分、あいつなら、何かをしでかすだろうと。
太郎冠者の言い訳の一つ目は、柑子の枝を槍に結び付けようとしましたが、一つが門から転げ落ちそうになったので、「好事(柑子にかけている)門を出でず」と呼びとめると、木の葉を盾に止まったので、そのまま食べたと言う。
ちなみに、「好事門を出でず」とは、「よい行いや評判は、世間に伝わりにくい」という意味。太郎冠者にすれば、転げ落ちた柑子を救ったのだから、一旦、手から離れた物は食しても、いいでしょう、という感じ。まさに自分の失敗を覆い隠そうとする理屈(笑)。
二つ目は、「懐に入れて歩くうちに、太刀の鍔(つば)に押しつぶされたので、食べました」と言う。そもそも、鍔に当るように柑子を懐に入れることが間違い。自分のやった行為に気づいていない。ヌケ太郎冠者。潰れた物は仕方ないから食べてもいいでしょうという判断。持ち主に報告もせずに。こういうことは案外、今でも、あるかも。

それではと、残りの一つを主人に出せと言われて、太郎冠者は、三つ目は、『俊寛』の島流しについて(俊寛ら三人は、鬼界ケ島に流されるが、二人は赦免されたのに、俊寛一人は島に残された)悲劇を語る。そして、「人と柑子はかわれども、思いは同じ涙かな」と謳って、自分の六波羅(六波羅は平家の住まいのあった所と腹をかけている)に納めたと言って、主人に叱られる。二つは食したのに、一つだけ残すのは可哀想だから食したという屁理屈。
人間、言い訳したい時は誰でもある。太郎冠者のように、悪気はなかったのに、ついついということはあるかもしれない。そういう言い訳は、子供の時によくあった経験を持つ人は多いかもしれない。でも、言い訳は、往々にして辻褄が合わず、結局、罰せられる。失敗した時は、時間をおかず、謝る方がいい。

ただ、この狂言の言い訳は、一種の人間観や『平家物語』の中の話を引っ張りだしたことにより、言い訳も、シャレが利いて面白いものになっている。でも、関西風のダジャレと捉えれば、おっさんの無理なダジャレに近く、ランク付けは低いかな(笑)。流風のような批評家の好餌(こうじ)になりやすい話だ。シャレじゃないよ。

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演能図屏風 小鍛冶
国立能楽堂提供:『演能図屏風』より「能 小鍛冶」
あらすじ
夢のお告げを受けた一条天皇(980〜1011) の命により、勅使の橘道成は、刀匠として名高い三條小鍛冶宗近(さんじょうのこかじむねちか) のもとを訪れ、剣を打つよう命じます。宗近は、自分と同様の力を持った相鎚を打つ者がいないために打ち切れない、と訴えますが、道成は聞き入れません。進退きわまった宗近は、氏神の稲荷明神に助けを求めて参詣します。そこで宗近は、不思議な少年に声をかけられます。少年は、剣の威徳を称える中国の故事や日本武尊(やまとたけるのみこと)の物語を語って宗近を励まし、相鎚を勤めようと約束して稲荷山に消えていきました。

家に帰った宗近が身支度をすませて鍛冶壇に上がり、礼拝していると稲荷明神のご神体が狐の精霊の姿で現れ、「相鎚を勤める」と告げます。先ほどの少年は、稲荷明神の化身だったのです。明神の相鎚を得た宗近は、無事に剣を鍛え上げました。こうして表には「小鍛冶宗近」の銘、裏にはご神体が弟子を勤めた証の「小狐」の銘という、ふたつの銘が刻まれた名剣「小狐丸」が出来上がったのです。明神は小狐丸を勅使に捧げた後、雲に乗って稲荷の峯に帰っていきました。

みどころ
「小鍛冶」は、一曲の展開が素早く、非常に変化に富み、前半、後半ともに見どころの多い人気の曲です。前半では宗近の前に現れた不思議な少年が、名剣の霊験を語るところ、特に火に囲まれた日本武尊が、草薙の剣を抜いて草をなぎ払い、炎を敵に返して退ける名場面の語りと動きの変化が面白く、後半は相鎚を勤める明神と宗近が剣を鍛えるクライマックスへ向かってどんどん運んでいくところに妙味があります。

きびきびした動きと爽快な謡は見る人を飽きさせません。演者の技の切れや謡の力を素直に楽しめる曲で、その娯楽性の高さからでしょうか、歌舞伎や文楽にも採り入れられ、親しまれています。

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